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困難な時代だからこそ求められる変革 美杉リゾート社長 中川雄貴氏【TOP’S RERAY】

2022年07月08日(金) 冊子掲載
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独自の取組みで注目を集める火の谷温泉美杉リゾート

今回の「TOP’S RELAY ~三重の未来を担う経営者に聞く~」のゲストは、前回のゲストWEBマガジン「OTONAMIE」編集長村山祐介さんからのご紹介で、「美杉リゾート」四代目社長の中川雄貴さんです。

美杉リゾートは、インバウンド向けの体験型ツーリズムや地ビールを活用したサービス等、独自の取り組みで注目を集めています。

90年続くホテル業を営む家に生まれた中川さん。最初から順風満帆のスタートだったというわけではありません。大学を卒業後、アメリカのホテルスクールに留学してさらに学びを深めようとしていた矢先、会社の経営が傾き呼び戻されたといいます。故郷美杉に戻り、町の衰退を目の当たりにするとともに、大変な時期を過ごすことに。

「自分はバブルなどのいわゆる『いい時代』を知らないんです。」と中川さん。マスツーリズムが主流だった1980年代、リゾート法を追い風に積極的な設備投資をするもののバブルが崩壊、インターネットの普及とともに旅行も多様化し、浮き沈みの激しさにより事業の継続が困難に。

社会人のスタートは会社の再建に携わるところから始まりました。

インバウンドの先駆者として

火の谷温泉美杉リゾートと言えば、三重県のインバウンドの成功例として名前が上がります。中川さんご自身も講演会やセミナーの講師として登壇を求められる機会が増えているといいます。

今でこそ旅行業界にインバウンド対策はマストといわれていますが、美杉リゾートは1990年代からインバウンドを意識してきました。訪日外国人観光客にとって定番となっている旅行ルートは、東京・箱根・富士山・名古屋・京都・大阪を周遊する「ゴールデンルート」と呼ばれ、旅行会社のパック商材となります。そしてこの名だたる観光地の中に「MISUGI(美杉)」が入ることもしばしば。

インバウンドツアーの特徴は、低価格であることよりも価値を見出し値付けすることが重要視されること。実際、フランス・タイ・マレーシア・台湾などから年間10,000人もの外国人が美杉に訪れ、特に文化先進国である欧米豪には田舎の良さが伝わりやすいのか、人気のツアーになっているとのとでした

インバウンドに関して、三重県内でNo1を自負している美杉リゾート。外国人観光客向けの体験型ツーリズムとして、美杉リゾート×伊賀上野観光協会×伊賀鉄道がタッグを組んで造り上げた「温泉・忍者体験パック」が人気を博しています。このツアーは、ホテルチェックイン時に密書と忍者衣装などを受け取り、ウォークラリーのような形式で美杉リゾート(ホテル)、伊賀鉄道、伊賀流忍者博物館などで様々な忍務をクリアしていくというもので、夕食の献立も「忍者麦酒鍋会席」と様々な遊び心がちりばめられています。

ソーシャル・イノベーションとの出会いが新たな視点を生むきっかけに

美杉リゾートを語る上で欠かせないのが地ビール「火の谷麦酒」。

オーナーである中川さんのお父様が渡米した際出会った個性的なペールエールの味に衝撃を受け、日本でも同じ味をと1998年に誕生しました。現在、美杉リゾート敷地内にある醸造所は中川さんが醸造責任者を務めており、定番のプレミアムラガー「火の谷ラガー」は、国際ビール品評会で入賞。三重セレクションにも選定され、常時季節ビールも含め3~4種のビールが用意されています。また、クラウドファンディングを活用してクラフトビールが飲み放題のビールサーバー付きの部屋を作ったり、ビール風呂を作ってしまったりと話題に事欠きません。

なぜこのようにアイディアが湧いてくるのでしょうか?お話を伺う中で、中川さんと「ソーシャル・イノベーション」との出会いが大きく影響しているように感じました。思えば、これまで取材させていただいた経営者の皆さんからも「地域イノベーション」というキーワードを聞くことが多かったように思います。

中川さんが提唱する「Misugi Village=Hotel構想」=「美杉モデル」は、一つの旅館=美杉リゾートが中心となり、その範疇を超えて町全体を一つの宿泊施設と想定した地域包摂型ツーリズムを展開する、つまり、地域内消費を促しながら地域全体が連携することで社会変革を起こすというものです。

具体的には、美杉リゾートがワンストップで宿泊、体験、交通手段など全ての手配を請け負い、さらにスケールメリットを活かした仕入れの共有等も行います。このように、中間システムとして地域資源のマネジメントを行うことで、地域プラットフォームという機能を介して地域内外に関係性を築いています。

また、農家民宿のプロデュースにも関わり、長期滞在につなげる取り組みもしています。これは個性豊かな古民家の活用にも繋がり、おもてなしするおばあちゃんなど「人」に価値を見出してもらえるようにもなります。農家民宿のおもてなしは、『この人に会いに行きたい』という人に出会う旅につながり、おもてなしする側の住民にとっても「誇り」になります。

お客様も、おもてなしをする側も住民も、美杉リゾートにとっても、幾多のWin-Winが重なる関係を築くことができるのも「美杉モデル」が成功している一因なのだと感じました。

フィールドワークの中で実践から学び地域に還元していく

コロナ禍で社会全体の元気がなくなってしまっています。美杉リゾートでも日本人観光客は激減し、ホテルの売り上げは落ちてしまいました。ですが、コテージの稼働率は変わっていないのだといいます。今年に入り、16棟あるコテージをバーベキューやサウナが楽しめるグランピング施設へとリノベーションすべく工事が行われています。

時代の先を読み半歩先を歩こうとする姿勢、失敗から学んだ地域と共にあり協働することの大切さ、単に流行りを追うだけではない開拓者としての心意気など学ぶべきことがたくさんありました。

フィールドワークの中で実践から学び、それを研究して得たことを地域に惜しみなく還元していく。これからは「INAKA TOURISM」が熱い。

地域とともに模索しながらも立ち止まることなく挑戦し続けていく中川氏の活躍から目が離せません。


<企業データ>
会社名 株式会社 美杉リゾート
所在地 〒515-3421 三重県津市美杉町八知5990
代表 中川雄貴
主な事業 旅館ホテル業、飲食店業、ビール製造業、パン製造業
創立 1954年3月1日
公式URL https://www.misugi.com/

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