株式会社UNICO(ユニコ)

伊勢から世界に挑戦する「伊勢角屋麦酒」【TOP’S RELAY】

2020年04月30日(木) 冊子掲載
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広報企画部門asamint

二軒茶屋餅角屋本店 代表 鈴木成宗氏に聞く 「伊勢角屋麦酒」の創業とこれから

今号よりスタートする新企画「TOP’S RELAY」~三重を担う経営者に聞く~、記念すべき第1回ゲストは、有限会社二軒茶屋餅角屋本店「伊勢角屋麦酒」の代表取締役社長 鈴木成宗さんにお話をお伺いしました。

鈴木さんは、1967年伊勢で二十代続く老舗の餅屋「二軒茶屋餅角屋本店」に生まれました。微生物に興味を持ち、将来は餅屋を継ぐのだから大学では好きなことを勉強したいと、東北大学農学部に進学。卒業後、家業の餅屋の仕事に就いたものの、1994年の酒税法改正されたこともあり97年に「伊勢角屋麦酒」を創業。

当初から志高く『伊勢から世界へ』『世界のビールファンを唸らせる』を合言葉に試行錯誤を繰り返し、年後の2000年にJapan Beee Cupで金賞を受賞したのを皮切りに、2003年には日本企業で初めてとなるAIBA金賞とベストオブクラスウィナー賞を受賞、その後もWBC、BIIA、WBA、IBAなど多くの国際大会で受賞を重ねてきました。

鈴木社長自身も、世界的な賞の審査員を何度も務められるほど、伊勢角屋麦酒の舌は世界中から信頼されています。


▲受賞の中でも、2年連続金賞が一番嬉しかったそうです。

良い商品を作ることが良い経験に直結するとは限らない

「世界一のビールが出来たら、きっと全てがうまくいく!』そう信じて、ただひたすらビールづくりに邁進しました。でも、飲食店経営は思うように伸びません。それでも世界一を目指し続け、2003年には日本企業初のオーストラリア大会金賞受賞!「これでようやく全てうまくいく!」と喜んだのもつかの間、肝心なビールの販売が思うように伸びず大苦戦します。「世界一の麦酒だぞ…」ぼやいてみても、美味しいビールも飲んでくれる人がいてこそ価値があるのです。角屋麦酒は良い商品を作りながらどん底を味わいます。

経営を学びなおすということ

そこでようやく、「良い商品を作るだけでは駄目だ」という事に気付き、経営について学びなおします。多くを学ばれた中で、今でも一番役立っているのは何ですか?と尋ねると、「MG」と「ランチェスター戦略」と「掃除」ですねとのこと。

まず、「MG」とはマネジメントゲーム=経営シミュレーションゲームのこと。経営を疑似体験することにより、利益を出すにはどう行動すべきかを学べ、よりハイレベルな意思決定ができるようになるといわれています。
2003年秋に出会い、2004年にはインストラクター資格取得、社員にもMGを学ぶことを推奨し、新卒内定が決まると入社までにMGの経験をしてもらうようにしているそうです。

2つ目の「ランチェスター戦略」とは、企業間の営業・販売競争に勝ち残るための理論と実務の体系です。
戦力に勝る「強者」と戦力の劣る「弱者」にわけ、それぞれがどのように戦えば戦局を有利に運べるのかを考えるための戦略論。元は第一次世界大戦での航空戦から生まれ、現代では実践的なマーケティング理論として活用されています。基本的なことではありますが、マーケティングを深く学ぶきっかけになったそうです。

そして、最後に「掃除」です。これはイエローハット創始者の鍵山秀三郎氏と出会い、氏が提唱した「掃除を通じて、世の中から心の荒みをなくしていきたい」という志に賛同し、NPO法人日本を美しくする会(掃除に学ぶ会)を知ったそうです。
“環境をきれいに保つ”ことの大切さに改めて気づき、今でも大切にしていらっしゃるとのこと。整理整頓をみんなですれば、心もまた整う。そして、持っている価値観も整理整頓されるのだそうです。

クラフトビールで伊勢から世界に挑戦する

「戦える良い商品」と「経営の学び」が揃ったことで、近年は増収増益。台湾、アメリカ、香港、シンガポールなどにも輸出するようになりました。
求人票を出せば、思いもよらぬ高学歴で意欲的な学生が「ぜひ御社に!」と応募が殺到。2017年『ビール製造への利用を目的とした「香気生産野生酵母」の香気特性および実用性評価に関する研究』において博士(学術)号取得。
2018年フルオートメーションの最新設備を備えた新工場竣工、2019年には初の著書『発行野郎~世界一の麦酒を野生酵母でつくる~』(新潮社)を出版。何もかもがうまく回り始めたように感じていました。

いつしか事業は順調に拡大し、ビール事業部の売上5~6億円、飲食店舗の売上1500万円、と企業全体売上のおよそ9割を角屋麦酒関連事業で占めるようになっていました。ビール事業の中でも、都市部にあるビアバーの生樽で提供されるものが約40%、神都麦酒や熊野古道麦酒など伊勢志摩地域と熊野古道周辺地域で観光のお土産として販売されるものが約40%、残りの20%が直営店舗で提供されるものと通信販売の売上を合わせたものになります。

そして、正にこれから!という時、大きな試練が降りかかりました。新型コロナウィルスの流行です。

「まさかの坂は本当にあるのだと思った…。崖から突き落とされたような心境。」と鈴木さん。国の緊急事態宣言が発令し、都市部の飲食店は休業、観光地からもぱったり注文が止まりました。これまでビールの生産が追いつかない状態だったのが、突然全く在庫が動きません。生産を制御しようにも、既に仕込みを終えタンクで出荷待ちするビールはざっと12万ℓ以上、330㎖の瓶なら36万本以上あります。

復活の日を信じて、心の火を灯し続ける

「落ち込んでいても仕方がない。パンデミックの状況下では制限や足枷は仕方のないことだと思っています。」でもね、鈴木さんは続けます。「ストレスフルな今だからこそ、適量のお酒には気持ちを和らげてくれる大切な役割があると思うんです。」

人類は農耕文化が始まり、決まった場所で人間関係を築き、全員協力せざるを得ないストレスの中でビールが生まれたといいます。

1997年4月25日に創業の伊勢角屋麦酒、この4月18日(土)には24周年を祝うイベントが企画されていました。新工場を案内したり、自社の麦酒を片手にブルワーとの時間を楽しんでもらう予定だったそうです。
このイベントもまた、コロナの影響で早々に中止に…。の予定でした、が!同日18時から、氏が発信するYouTubeチャンネル「発行野郎なりぴーチャンネル」を使って、『復活ののろしを上げろ!伊勢角屋麦酒オンライン飲み会』を生配信。当日は2000回を超える試聴がありました。今後も、オンライン飲み会を企画していくとのことですので、どうぞお楽しみに!

▲「発行野郎なりぴーチャンネル」はこちら

自社のサイトやSNSを使い、「ビール達を助けてください。」と呼びかけに応えるように、イセカドファンからの注文が日に日に増えるようになりました。自社の工場の一角で懸命に発送作業をするのは、休業になった直営店舗のスタッフたちです。直営店のアルバイトを経て高卒で社員となった現工場長は、自筆で書いたお礼のメッセージをブログにアップします。社長だけじゃなく、スタッフみんなが立場を越えて業務を越えて、会社を、そして大切な麦酒を守ろうとしている姿に胸を打たれました。


▲熱く語ってくださった鈴木さん。

「コロナは籠城戦になる。やれることをやる!雇用を守り抜く!」力強く言い切る鈴木社長の心の炎は、確かに復活の狼煙を上げる火だと感じました。実際はまだ復活には時間がかかるのかもしれません。でも、コロナに負けるな!!がんばれNIPPON!がんばれ伊勢!私の心にも熱い火がついたように感じました。

会社名:有限会社二軒茶屋餅角屋本店
本店所在地:〒516-0017三重県伊勢市神久6丁目8番25号
営業所住所:〒516-0017三重県伊勢市神久4丁目466番1号
代表取締役社長:鈴木成宗(すずき なりひろ)
事業内容:食料品製造販売(ビール類、生菓子、味噌、醤油)、飲食店経営 他
代表商品:伊勢角屋麦酒、神都麦酒、二軒茶屋餅、角屋味噌醤油
会社設立:平成6年(1994年)6月24日
創業:天正3年(1575年)船着場の茶店として創業。現社長で21代目。
資本金:5,800万円
従業員:社員20名、パートアルバイト75

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