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「常に現場を科学する」研究開発型の農業カンパニー「あさい農園」【TOP’S RELAY】

2021年05月06日(木) 冊子掲載
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広報企画部門asamint

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今回の「TOP’S RELAY 〜三重の未来を担う経営者に聞く〜」のゲストは、前回のゲスト、有限会社ゑびや代表取締役/株式会社EBILAB代表取締役CEOの小田島春樹さんからのご紹介で、株式会社浅井農園五代目、代表取締役の浅井雄一郎さんにお話しを伺いました。

▲浅井農園の五代目、代表取締役の浅井雄一郎さん

浅井農園は、明治40年に創業してサツキ・ツツジの生産を始め、その後1975年に法人化。創業101年目の2008年より、後に浅井農園の代名詞とも言える完熟チェリートマト試験栽培を始動し事業を拡大。

2017年中小企業庁の選ぶ『はばたく中小企業・小規模事業者300社』に選出、2018年株式会社アグリッド設立、同年日本農業経営学会より『実践賞』を受賞、2020年には農業情報学会より『農業イノベーション大賞2020』受賞など、今注目の企業の一つです。バブル崩壊により危機的状況に陥った老舗の植木屋さんが、いかに研究開発型の農業カンパニーに急成長したのかお話をお伺いしました。

世界各地での農業体験と若い頃の豊かな経験が老舗のピンチを救う

現在は、スマート農業と呼ばれる技術やAIの導入で注目される浅井さんですが、大学進学時には農業から離れたい気持ちから、合格していた農学部ではなく敢えて理学部に進学したのだそう。

祖父・父共に若い頃から海外で技術を学び、国際感覚に優れている浅井家。浅井さんも父の勧めに加え、大学入学後再び農業への関心が高まったことで、大学1年の夏、アメリカの種苗会社のインターンに参加します。

そこで感じた両国における農業の規模感の違い、先進的なテクノロジーに衝撃を受けた浅井さん。以来、アルバイトでお金を貯めては、バックパックで世界を旅して農業を見て回ったそうです。

卒業後、東京のコンサルティング会社、環境系ベンチャー、農業ベンチャー立ち上げの経験を経て、家業を継いだのが30歳の頃。バブル崩壊により全盛だった植木業が大幅に落ち込んだ時期でもあり、農業ベンチャーで縁のあったミニトマトの栽培に着手します。実は浅井さん、元々トマトは少し苦手。でも、その時食べたミニトマトの美味しさに感動し、手探りでトライ&エラーを繰り返しながら本格的なミニトマト栽培に乗り出したのだとか。

植物を理解し、植物にとって心地良い環境になるようにコントロールする。トマト作りは利益が出ないと決めつけるのではなく、課題をひとつずつ解決していく。コンサルの経験も活き、次第に成功の道が開けていきました。

難しいことは分からなくても食べたらわかる!浅井農園の心意気

コーポレート・フィロソフィーに『植物と一歩先の未来へ』を掲げる浅井農園。『常に現場を科学する』研究開発型の農業カンパニーを目指し、「浅井農園なら何か面白いコトをやってくれるんじゃないか?」「浅井農園が育てる野菜なら美味しそうだから一度食べてみたい!」お客様から常にそんなわくわく感、期待感を感じていただける農業生産法人であり続けたいのだと言います。

実際、筆者が初めて浅井農園さんの手掛ける完熟チェリートマトに出会った時、あまりの美味しさに衝撃を受けました。「浅井農園さんが作ったなら…」という絶対的な信頼もあります。

▲浅井農園さんのトマト、まだ味わったことのない方はぜひ一度ご賞味あれ!

地元のスーパーでの取り扱いがなく、残念ながら浅井農園の野菜を食べたことがないと言う方は、浅井農園公式ホームページに、浅井農園の野菜が購入できる『あさい農園直売所』や、定期お届け便としてウェブ注文ができる『まいとまと.net』について詳しく書かれているので、ぜひ購入して食べてみてくださいね。

今若者に伝えたいこと

企業ビジネスで農業にアプローチし、農業経営のモデルとなるべく躍進する浅井農園。

「目標を達成することに満足するのではなく、常に新しい目標を見つけチャレンジし続けたい。最終的なゴールは、自分自身の描く浅井農園らしい20個の研究テーマを形にしていくこと。農業の見え方が変われば、子供たちも職業の選択肢として「農業って面白い!」と言ってもらえる日が来るはず。」

浅井さんの言葉は、どれも力強く前向きで、子供たちは勿論、農業を志す若者にも大きな希望を与える輝きがあります。

最近は取材も増え、また、大学で講義を依頼される機会も増えているそうです。浅井さんは言います。

「『安定』は悪い言葉ではない。ただ、賃金の安定、経済的社会的な安定を求めすぎて、生きることの目的をお金にしてしまうのは勿体ない。人間社会の資本の論理だけでなく、地球の論理や植物の論理を理解しリスペクトすることが大切だと思います。『北京で蝶が羽ばたくと、ニューヨークで嵐が起こる』ほんの小さな変化が、後の大きな変化に影響を与えるという言葉です。大学1・2年生は、大学生活・授業・生活のためのアルバイトも大切だと思いますが、社会での接点を感じられるインターンの経験を積んでほしいですね」とのこと。

また、浅井農園の求める人材は、職種も雇用形態も多種多様。実際従業員の中には、中国・ネパール・スペインなど外国籍の若者も多いのだとか。コーポレート・フィロソフィー『植物と一歩先の未来へ』を共に目指す植物への敬意を持った人材を、採用していきたいとのことでした。

新しい取り組みとして、2019年より三重県玉城町で、約7ha東京ドーム1.5個規模のキウイフルーツ栽培が始まっています。キウイ販売で世界最大手のゼスプリ社(ニュージーランド)との提携によるもので、2022年秋には収穫が始まる予定です。

今回の農地は、約50年前に基盤整備されたものです。地権者52人が柿を栽培し始め、柿は町の特産品になりましたが、後継者不足により8割以上が耕作放棄地となっていました。そのタイミングでキウイ栽培の声が掛かったということもあり、町の全面協力により農地を集約して、浅井農園が借り受けたのだそうです。キウイ生産の寿命は40~50年。時代の先を見据えて、次世代の人たちがちゃんと農業ができるように継承していきたいとのこと。
ちなみに、キウイ園地整備のために投入した堆肥は3千トン。これは、三重県中南部の畜産農家より提供されたものです。また、土壌改良のために必要な牡蠣殻石灰3百トンは、三重県鳥羽市浦村の牡蠣生産者浅尾さんの協力により入れることができました。

一人でできることは限られています。組織、仲間で役割分担し、皆の連携によって持続可能な社会を実現していく。地域の資源循環のモデルケースを、世代も人種も越えて仲間と共に一緒に実現していきたいと思っていますとのこと。

浅井さんの力強い言葉には、これからの時代を生き抜くヒントがあふれていました。

▶︎浅井農園ホームページ

次回は、鳥羽市浦村にある孝志丸水産代表 浅尾大輔さんにお話を伺います。

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