広報企画部門はづき
コロナの影響は続く
新型コロナウイルスが世界を一変させて約2年半。2022年7月現在、まだまだ終息とはいえませんが、日本の感染状況やワクチンの接種率などから、ウィズコロナやアフターコロナを見通す時期になってきたのではないでしょうか。6月からはおよそ2年ぶりに外国人観光客の受け入れが再開し、観光業の多い三重県伊勢志摩地方でもその経済効果に期待を寄せています。
一方で、中小企業の間ではまだまだ厳しい経営状況が続いています。帝国データバンクの調査によると、コロナ融資を受けたあとに倒産した「コロナ融資後倒産」が急増しているそうです。
新型コロナウイルス流行後、経済の急激な縮小や経営環境の変化により、多くの中小企業で業績が悪化。こうした企業は給付金をはじめとする政府の支援策に加えて、コロナ融資などで資金繰りを支えてきましたが、長引くコロナ禍で業績が回復できぬまま返済開始の期限が迫り、最終的に資金繰りに行き詰まって事業継続を諦める経営破たんが目立ち始めています。それに合わせて円安や原材料の高騰も懸念材料となり、三重県を含む東海地方のコロナ関連の倒産企業は、2022年5月26日までに200件に達しました。
そんな中、ここ2年で外出自粛やテレワークの奨励を受けて家の中で過ごす時間が増えたことによる、いわゆる「巣ごもり消費」が活発化しました。さらに、デジタル化や働き方改革の進展、感染症対策、消費者の価値観や意識の変化に伴い、新たな消費需要も生まれています。
感染が長期化する中、感染症への対応と経済をいかに両立させるかという難題に対し、企業は生き残るため、既存の事業の再構築や業態転換、新規事業参入など新たな挑戦をしています。
企業の新たな挑戦
新たな挑戦で成功を収めた代表的な企業の1つに「シャープ」があります。
新型コロナウイルス感染拡大からすぐに、多紀町の三重工場の液晶パネルなどの製造ラインをマスク製造に切り替え、マスクの提供を始めました。
シャープにとってマスク製造は異業種でしたが、感染拡大直後のマスク不足の解消に貢献し、消費者から好感を得たことはまだ記憶に新しいのではないでしょうか。あわせてシャープは今年の春、マスク着用による肌トラブルに対応するための化粧品事業への参入を発表しました。
シャープの場合は新規事業参入による事業の多角化にあたりますが、他にも異業種連携の例として昨年度、三重県が主体となって地域や業種を超えて連携し、商品開発を行う事業を実施。開発された商品は三重の新たな名品として、オンラインイベント等で販売されました。
このような異業種連携は、企業が困難な課題に直面した際、自社だけでは解決できないことも、異業種の企業や異なる視点を持った企業と力を合わせることで新たな価値が生まれ、自社事業の拡大につながるきっかけにもなります。
ただ、これらは大企業の取り組みであったり、自治体のバックアップのもと実施されたケースです。我々のような中小企業がコロナ禍を乗り切るためには、個人消費が落ち込んでいるからといった外的要因のせいにするのではなく、今の社会の動きや新しい生活様式のニーズからトレンドを捉えて、積極的に対応していくことが必要です。
「事業再構築補助金」とは
コロナ禍を乗り切るため、新分野での事業の立ち上げや業態転換などを考えている事業所に向けて「事業再構築補助金」があります。
これは、新型コロナウイルスの影響で、現在の事業が多大な影響を受けている企業が新たな時代のニーズに対応すべく、思い切った事業の再構築を行うことを支援するために経済産業省が設けた補助金です。中小企業・中堅企業・個人事業主・企業組合等が対象で、申請には新分野展開や業態転換、事業・業種転換といった「思い切った事業再構築」に意欲を持ち、なおかつ次の申請要件を満たす必要があります。
1.コロナ禍の影響で売上が減少していること
2.新分野展開、業態転換、事業・業種転換等、指針に示す「事業再構築」を行うこと
3.認定経営革新等支援機関(国の認定を受けた中共企業診断士、金融機関等)と事業計画を策定すること
とはいえ、申請したすべての事業者が採択されるものではありません。提出された事業計画書は、公募要件で示されている審査基準に沿って、再構築の内容や事業化の妥当性・実現性などが審査された上で、採択・不採択が決定されます。
昨年3月に公募がスタートし、第6回の申し込みが先月終了しました。第6回の公募においては補助上限額が引き上げとなり個人事業主と中小企業に対しては最大
8,000万、中堅企業の場合は最大1.5億円と、史上最大規模の補助金となりました。今後はあと2回程度の公募が実施予定と発表されています。
採択例から見えること
これまでに採択された例を見てみると、イベント企画会社が映像制作・機材レンタル事業に新分野展開したケース、レストランがテイクアウトや宅配形式による小売業に業態転換したケース、市場で不動産賃貸業を行う企業が回転寿司事業に業種転換したケースなど、様々な業種が思い切った事業の再構築にチャレンジしていることが分かります。
これらの共通点は、企業の「こうありたい」という将来像が明確であり、その将来像は、地域社会や雇用、日本経済にプラスの影響をもたらすものである、ということです。
ちなみに、弊社 株式会社UNICOも事業再構築補助金第1回の公募で採択されました。新たに取り組む事業は、すでにUNICOLUMNやYouTubeなどでもお伝えしている、キャンプ場を併設したコワーキングスペースの運営事業です。
今年秋の完成に向けて、日々奮闘中!YouTubeチャンネル「UNICO TV」では進捗状況などを配信していますので、ぜひご覧ください。
「自社の強み」を活かして
事業再構築や業態転換に挑戦しようと、アイデアをもとに手当たり次第取り組んでもうまくいく訳ではありません。
これらはあくまで目的を実現するための「手段」であり、「何のために事業再構築や業態転換に取り組むのか」という「目的」を明確にすることが、最も重要なポイントです。深く考えないまま進めてしまい、最終的には継続できなくなってしまったという失敗談もあります。また、思い切った事業の再構築ばかりに重きを置いたため、自社の強みを捨ててしまうケースも。
まずは、何が自社の強みであるかよく考え、その強みを生かしたまま付加価値を上げるためにはどうしたらよいか、十分に考えることが必要です。そして目的が明確になっても、採択される事業計画書を作成するためには時間も労力も必要です。採択されたら途中で放り出すこともできません。
単なる臨時収入とは考えず、責任をもって遂行できる事業計画を立てるため、地域の商工会・商工会議所等の会員になり、相談しながら今目の前にある事業、そしてこれから手を広げようとしている事業としっかり向き合うことをおすすめします。
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