広報企画部門はづき
いまさら聞けない「SDGs」
「SDGs」とは、「Sustainable Development Goals(サスティナブル・デベロップメント・ゴールズ)」の頭文字をとって作られた言葉で、日本語では「持続可能な開発目標」という意味があります。
これは2016年から2030年の15年間で達成すべき「世界共通の目標」として、2015年9月に開催された国連サミットで、193の加盟国のリーダーたちによって採択されました。貧困や飢餓、ジェンダー平等や経済成長、気候変動など、今世界が抱えている課題を解決しようと、具体的には17の目標と、それらの目標を達成するための具体的な169個のターゲットで構成されています。
▲SDGs 17の目標。この目標を達成するために169個の具体的なターゲットがあります。環境省がまとめた一覧はこちら
「SDGs」を語る上で欠かせないのは、前身となる「MDGs(Millennium Development Goals)」の存在です。
これは、2000年に採択された「国連ミレニアム宣言」と、1990年代の国際開発目標を合わせたもので、貧困や飢餓、初等教育、女性、乳幼児など、8つの目標を、専門家たちの議論を経て2001年に策定されました。
「MDGs」は国際社会における開発分野の羅針盤として、2001年までに一定の成果を挙げましたが、未達成の目標や、時代の移り変わりによって新たな問題も見えてきました。その課題に対応するために定められたのが、「SDGs」です。「MDGs」が開発途上国のための目標だったのに対して、「SDGs」は気候変動対策など、先進国が取り組むべき課題を含んだものになります。
2016年から先進国が取り組むべき目標として定められている「SDGs」。ここ1、2年で急激に耳にするようになった気がしませんか?
それは、目標達成に向けて現在の日本の達成度が遅れているからです。
国連はSDGsの達成を目指す2030年を10年後に控えた2020年1月、「行動の10年」を宣言し、世界に向けて持続可能な開発への取り組みをよりスピーディーに、より広く進めることを求めました。そのため日本でもこの呼びかけに応えるため、政府や自治体、企業や市民団体が次々と取り組みを始めているのです。
実際に今年の6月に帝国データバンクが発表した「SDGsに関する企業の意識調査」によると、SDGsに積極的な企業は39.7%と、前年の同時期に行われた調査と比べて大幅に増加しています。SDGsに積極的な企業は、規模別では大企業が半数を超えるも、その一方で中小企業はまだまだ低迷しており、大きな意識の差が現れる結果となりました。「目標が壮大すぎて、取り組みようがない」や、「新たな取り組みへのハードルが高い」などといった意見が多く上がったようです。
SDGsには法的な強制力はなく、取り組む内容については企業に一任されています。そのため、手探りの状態でSDGsに向けた取り組みを進めている中小企業が増えているのも事実です。
中小企業がSDGsに取り組むメリットは無限大
では中小企業がSDGsに取り組むメリットについて考えていきましょう。SDGsが企業イメージの向上や社会貢献に繋がることは知られていても、ビジネスチャンスであると考える企業はまだまだ少ないのではないでしょうか。
SDGsに取り組むことで、取引先やお客様が価格に左右されずにその企業のサービスや商品を選んでくれるはずです。そして、取り組む中小企業が少ないからこそ、大企業が取引先を選ぶ際の条件になることもあり、新たな販路を開拓する可能性があります。
同じく、世界共通の考えであるSDGsは、国や業種を問わずに連携が可能であり、新たなビジネスチャンスを生み出すきっかけにもなります。また、人材確保の面でのメリットも。昨今の学生のSDGs認知度は高く、積極的に取り組んでいるかどうかは優秀な学生が企業を選ぶ際の判断基準の一つになると言えます。
このように、SDGsに取り組むことで得られるメリットは数え切れないほどあるのです。
まずは自社の強み・特徴の見直しを
SDGsの17の目標は「経済」「社会」「環境」の3つに大きく分けられます。
まずは自社の事業や強みと最も関連する目標から取り組んでみてはいかがでしょうか?既存事業の可能性を掘り下げることで、スムーズに取り組めるかと思います。前述の通り、SDGsは法的な強制力はなく、自発的な取り組みを促すものです。自社のペースで自由に進めることができるのも魅力の1つではないでしょうか。
取り組むにあたりSDGsのロゴを使いたい企業は多いと思いますが、使用するには申請が必要な場合と必要でない場合があります。
申請や許可が必要なのは、資金調達や営利目的の場合です。例えばSDGsを利用してクラウドファンディングなどを実施したり、SDGsのロゴが入った商品を販売する場合などがそれらにあたり、国連による事前許可と、適切なライセンス契約の締結が必要になってきます。
反対に、資金調達目的と商業用途以外の用途であれば、申請や許可は必要ありません。ただ、申請や許可が不要な場合でも、SDGsに関するロゴを使用する際にはガイドラインに沿って利用する必要があります。詳しくは国際連合広報センターのホームページをご覧ください。
国や自治体も後押しするSDGsへの取り組み
中小企業のSDGsへの参加を促す取り組みも活発化しています。
日本では、2008年から持続可能な経済社会の実現に向けて、「環境モデル都市」と「環境未来都市」を選定しており、それに加えて地方創生をいっそう促進することを目的として、SDGs達成に向けた取り組みを提案する都市を、「SDGs未来都市」として選定。2018年度に志摩市が選定され、昨年、いなべ市と三重県が「SDGs未来都市」に選ばれました。
▲三重県多気町にオープンした「VISON」も、SDGs推進を核にしています。
現在、三重県では「SDGs推進窓口」が設けられ、民間企業・団体と三重県との連携・協働の促進によって、共通の課題に対する共創事業も生まれています。そしてこの度「三重県SDGs推進パートナー登録制度」がスタートしました。
その名の通り、SDGsに取り組む企業や団体などを県が登録する制度で、登録されると登録証が交付され、オリジナル登録マークを使用することができ、県のホームページでPRされるなど様々なメリットがあります。
登録には一定の要件を満たす必要がありますが、企業価値向上やビジネスチャンスのきっかけの1つとなるのではないでしょうか。
サスティナビリティの原点は伊勢神宮!?
とはいえ、やはり何から始めてよいのかわからない…というのが正直なところ。しかし、実際には私たち日本人にとっては、とても身近なものなのです。
三重県、特に伊勢には「常若」の精神が色濃く残っています。これは、古いものや伝統を大切にしながら、常に若々しく生き、その精神を未来へと伝えていくというもので、この精神のもと伊勢神宮では20年に一度、新しい神殿をととのえて、御神体をお還しする「式年遷宮」が行われてきました。
▲次回2033年の式年遷宮に向けて準備も始まっています。(写真は2014年の御木曳の様子)
式年遷宮によって伊勢神宮は1300年たった今でも、当時の姿を残しつつ、建築や伝統工芸の技術を受け継いでいるのです。まさにこの「常若」の考え方は、サスティナビリティ(=持続可能)の原点とも言えるのではないでしょうか。
日本の企業数で見ると全体の99.7%を占める中小企業。日本の経済を支える中小企業が取り組めば、日本でのSDGsの取り組みが一気に加速するはずです。企業のスタンダードになりつつあるSDGsというキーワード。
「常若」の精神でこの先の未来のために、まずはできることから始めてみませんか?
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