
広報企画部門はづき
「simme」は、2012年に伊勢で創業したベジタリアン&ヴィーガン料理専門店です。
母方の実家が食品卸加工業を営んでおり、野菜に親しみながら調理経験を積んできたというオーナーと、子どもの頃から肉・魚よりも野菜が大好きで、編集者としてメディアの仕事に携わってきた奥様の2人で営んでおられます。
「simme」の構想のきっかけは、2人が「肉・魚を使わなくてもおいしい料理を世の中に伝えたい!」とひらめいたこと。カフェを開業するため、オーナーは東京などで経験を積み、ベジタリアン料理を提供する長野県のホリスティック・リトリートでキッチン担当として勤務。調理の腕を磨いたそうです。
食材は、オーガニックや伝統的な製法で作られた調味料をできる限り厳選。ドレッシングなど全ての料理を手作りしている。
地元・伊勢を拠点に開店準備を進めていた2012年以前は、ベジタリアンやヴィーガンは今よりもっと世間に浸透していなかったそう。
「ベジ=精進料理=おいしくない」という考えが一般的で、宗教と誤解されたり、理解されないこともあったと、お2人は語ります。
「伊勢志摩なのに肉も魚も使わん店なんて…とか、当時はいろいろとご意見をいただきました。」
しかし2人には、はっきりとビジョンが見えていました。
「伊勢にはおいしい海鮮やお肉が楽しめるお店はたくさんあるし、自分たちが参入する必要性は感じませんでした。でも、“お肉・魚介類・たまご・乳製品を全く使っていなくて、カジュアルでおいしいお店”は、ほとんどなかったんです。菜食が求められる時代がやってくると感じていたし、そこに貢献したい。野菜だけでもおいしい料理はできるよって知ってほしかったから、他に選択肢はありませんでした。」
2店舗目の看板メニュー「ベジ定食」(2014年〜2019年)。お肉・魚介・乳製品・たまご不使用!
ご縁あって開店した最初の場所は、伊勢の二見。
「地元情報誌や全国誌に載せていただいたおかげもあり、地元だけでなく観光の方も訪れてくださって。15席ほどだったのですが、行列のできる日が続きました。厨房も手狭になってしまい、1年半ほどで伊勢市内の別の場所へ移転を決めました。」
移転先では、約30席を確保。しかしこちらでもすぐに連日行列となり、繁忙時には入店まで2時間待ちだった日々も続きました。
「2店舗目では当初、店内飲食だけではなくお惣菜のテイクアウトにも力を入れる予定だったんです。自宅でも楽しんでもらいたいのと、お惣菜事業を営んでいた曽祖父らの意思も継げたらと思って。でもランチが想像以上に多忙で手が回らなくなってしまい、もっとお客様に喜んでもらいたいのに、と日々葛藤でした。」
乳製品やたまごアレルギーでも安心して食べられる自家製ヴィーガンスイーツ
創業時より年々、地元・伊勢を中心に全国からファンとリピーターを増やし、その知名度はますますアップ。2019年から2年連続で「日本ベジタリアン・アワード」にノミネートされました。
「これからの菜食文化を担っていける一員となれたら。その先は、自然の素晴らしさを共感しあえる他業種の方々と手を組んで、コミュニティを創っていきたい」とオーナー。そのヴィジョンを見据え、2020年春、同じ市内に移転オープンが決まっています。
東京五輪に向けて来日する外国人やアレルギーの子どもの増加などもあり、食の多様性が求められる時代となった今、食糧危機や環境汚染を緩和する手段のひとつとしても注目されるベジタリアン業界。再び伊勢から発信される「simme」の活躍に、ますます目が離せません。
※2020年1〜2月は、伊勢神宮の外宮前と内宮前にてお弁当を委託販売。詳しくはsimme(しんめ)ホームページにて!